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「サガ!」 一人の男が神殿に駆け込んできた。双子座のサガはその男を見て動きが止まる。 神殿内にいた男たちは二人に注目した。 「カノンか……」 しかし、感動の再会とはほど遠い展開になった。 「お前ら!守護宮を開けて何やっているんだ!」 カノンはシードラゴンの鱗衣をまとっているのだが、発言は双子座の聖闘士そのままだった。 サガは呆然とした面持ちで、双子の弟の事を見る。 「バカ兄貴、さっさと守護宮に戻れ」 「バカ兄貴とは何て言い種だ!それにお前こそ鱗衣をまとって、再びアテナに敵対する気か」 再会した途端に喧嘩を始めた双子に、全員唖然とした。 「二人とも今は喧嘩は止めろ。カノン、久しぶりだな」 アイオロスの仲裁に二人は一応喧嘩を取りやめる。背後ではアイオロスに感心する声が聞こえる。 「アイオロス!」 カノンは13年振りに見る射手座の聖闘士をじっと見た。そしてアイオリアを一瞥する。 彼は聖戦の直前に兄の罪を沙織から聞いている。 邪悪な心に支配された兄が親友を陥れ、その弟を苦しめていた。だからこそアイオリアの気持ちが理解できる。 アイオリアもまた兄のスペアとして、聖域の悪意を一身に受けていたのだろう。 カノンはアイオロスの肩を叩く。 「随分年相応な姿だな。13年前のまま復活かと思っていたぞ」 するどいツッコミにアイオロスは苦笑した。 「これには自分でも驚いているよ。しばらく鏡の中の自分に違和感がありそうだ。 それより同じ時期に復活の筈だが、随分早くここにたどり着いたな」 その時、背後から一人の禍々しい印象の女性と二人の海闘士が現れた。 「シードラゴン、早い!」 そう言って駆け上がってきたアイザックを見て、カミュが前に出た。 「アイザック!」 行方不明になっていた弟子の出現に、彼は驚いた。 「師匠、お久しぶりです」 アイザックは敬意を払った礼をする。 そしてソレントはアルデバランの姿を見つけて、一瞬戸惑いの表情を見せた。 「感動の再会はいい。アテナを呼べ」 エリスはシードラゴンに命じたが、快く引き受けたのはアイオロスだった。 「女神エリス。只今、アテナを呼びます」 これにはサガや他の黄金聖闘士たち、カノンすら驚いていた。 「アイオロス、こんな怪しい奴の言うことを信じるのか!」 連れてきたカノン自体が、この暴言を吐くのだから始末におえない。 エリスの表情に険しいものが現れた。 |
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