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動きだした時間 3

「それではまた聖戦が起こるのでは……」
サガの言葉に沙織は首を横に振った。
「冥王が眠りについた今、その心配は無用です。それに今回は冥王の姉であるパンドラも協力してくれました」
これにはサガ・デスマスク・シュラ・カミュ・アフロディーテは『信じられない』と言いたげな表情になった。
「とにかく話はこれだけです。絶対に三日間は大人しくしていてくださいね」
言葉は優しいが目つきは脅迫染みている沙織に、全員頭を下げた。
だが、彼女は急に少し悲しそうな表情をして天秤座の童虎に近づく。
「天秤座の童虎」
いきなり話しかけられて、童虎は顔を上げた。
沙織がしゃがんでいる為、目の前に女神の顔があり、彼は少なからず動揺した。
「先の戦いでは本当に辛い思いをさせてごめんなさい。貴方とシオンのお陰で、今度の聖戦も戦い抜くことが出来ました。
私は今度の試練も成し遂げて、絶対にシオンや紫龍たちをこの世界に呼び戻します」
童虎はあふれる涙をどうしても止めることが出来ず、俯くしかなかった。
「もったいないお言葉……」
「それにサガ」
今度はサガの前にしゃがみ込んだ。
「今回はアイオロスをアイオリアに譲ってあげてね」
一瞬何のことだか判らなかったが、アイオリアの顔を見て少しだけ微笑んだ。
「分かっております」
アイオリアは緊張した面持ちで、下を向いている。
表情は何かを堪えているように強張っていた。
「アイオロス」
沙織は射手座の黄金聖闘士に向かって微笑んだ。
「私の前じゃ恥ずかしいのなら、私は退場するわ。ただ、他の黄金聖闘士たちが破目を外さないようにサガと一緒に注意してね」
そう言って沙織が神殿の奥に引っ込んだ後、男たちの歓声が響きわたった。

そしてその声がより一層大きくなったのは、しばらく経ってからだった。