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光と共に 1

ようやく泣き止んだ後、沙織はさっぱりした表情で歩きはじめた。
光が彼女の傍を付かず離れずの距離で漂っている。
「パンドラも良いお姉さんだな」
しかし、言われたほうは困惑していた。 そして沙織が二人の方を振り向いた。
「蟹座があったわ!」
はしゃいでいる沙織を見て、エリスが呟いた。
「まるであの光は水先案内人だな」
「……」
パンドラは何を考えているのか判らない女神の横顔を、ちらりと一瞥した。
蟹座をパンドラに持ってもらうと、沙織は再び歩きだす。 表情は非常に楽しげであった。
そして彼女はまた見つけたのである。
「エリス!シードラゴンと双子座があったわ!」
後から来る二人を大声で呼ぶ。 エリスが駆け寄った。
「やはり彼らは……」
争いの女神は嬉しそうに微笑むと、青い鍵でシードラゴンを解放した。 沙織も双子座を解放する。
「それでは一度戻ろう」
パンドラに言われて二人は頷く。
「あの……二人に頼みがあるんだけど……」
沙織がやや不安げに話しかけた。
「何だ?」
「あの、アイオロスは私一人で探したいの」
他の二人は顔を見合わせた。
「別に構わない。今までだって、荷物持ちのようなものだったからな」
パンドラはエリスのほうを見る。
「ようやっと休めるのなら、反対する理由はない」
沙織は嬉しそうに微笑んだ。

そして若き戦の女神は、元気にオラクルを出発した。
「女神アテナは嬉しそうですね」
エウリュディケーはまるで母親がするように、彼女に向かって手を振っていた。
「何といっても別格の男性を見つけるのだ。嬉しいのだろう」
エリスはやれやれといった表情で、亡霊聖闘士たちの方へ歩いていった。
「ユリティース、最初の試練はこれで終わりか?」
「はい、アテナが最後の一人を見つけた時に終了します。
次の試練はアテナが戻ってきた時にお話しします」
パンドラはじっとエウリュディケーの事を見た。
「ユリティース……」
「どうかされましたか?」
「いや、アテナは大丈夫だろうか?」
するとエウリュディケーは微笑んだ。
「光を携えていますから、大丈夫です」
「そうか……」
二人はじっと通路の方を見つめた。