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ようやく泣き止んだ後、沙織はさっぱりした表情で歩きはじめた。 光が彼女の傍を付かず離れずの距離で漂っている。 「パンドラも良いお姉さんだな」 しかし、言われたほうは困惑していた。 そして沙織が二人の方を振り向いた。 「蟹座があったわ!」 はしゃいでいる沙織を見て、エリスが呟いた。 「まるであの光は水先案内人だな」 「……」 パンドラは何を考えているのか判らない女神の横顔を、ちらりと一瞥した。 蟹座をパンドラに持ってもらうと、沙織は再び歩きだす。 表情は非常に楽しげであった。 そして彼女はまた見つけたのである。 「エリス!シードラゴンと双子座があったわ!」 後から来る二人を大声で呼ぶ。 エリスが駆け寄った。 「やはり彼らは……」 争いの女神は嬉しそうに微笑むと、青い鍵でシードラゴンを解放した。 沙織も双子座を解放する。 「それでは一度戻ろう」 パンドラに言われて二人は頷く。 「あの……二人に頼みがあるんだけど……」 沙織がやや不安げに話しかけた。 「何だ?」 「あの、アイオロスは私一人で探したいの」 他の二人は顔を見合わせた。 「別に構わない。今までだって、荷物持ちのようなものだったからな」 パンドラはエリスのほうを見る。 「ようやっと休めるのなら、反対する理由はない」 沙織は嬉しそうに微笑んだ。 そして若き戦の女神は、元気にオラクルを出発した。 「女神アテナは嬉しそうですね」 エウリュディケーはまるで母親がするように、彼女に向かって手を振っていた。 「何といっても別格の男性を見つけるのだ。嬉しいのだろう」 エリスはやれやれといった表情で、亡霊聖闘士たちの方へ歩いていった。 「ユリティース、最初の試練はこれで終わりか?」 「はい、アテナが最後の一人を見つけた時に終了します。 次の試練はアテナが戻ってきた時にお話しします」 パンドラはじっとエウリュディケーの事を見た。 「ユリティース……」 「どうかされましたか?」 「いや、アテナは大丈夫だろうか?」 するとエウリュディケーは微笑んだ。 「光を携えていますから、大丈夫です」 「そうか……」 二人はじっと通路の方を見つめた。 |
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