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思惑 4

「パンドラはしばらく放っておく。 エウリュディケー、随分待たせたが試練の内容を教えて欲しい」
エウリュディケーは一度通路の方を見たが、再び女神たちの方を向くと試練について話し始めた。
「それでは最初の試練は、これです」
彼女はその手に三つの鍵を出した。 金と青と黒の鍵は鈍く輝いている。
「まずはセイレーン様以外の主要の二十一名の闘士の方を見つけて、この『オルクス』へ連れてきてください。
帰りは何処にいてもオルクスが発する光を目指せば良いので、方向を見失う事はない筈です。
そしてこの鍵は彼らを縛りつけている大地の拘束を解く為のものです。オルクスは出ることは簡単ですが、入るにはこれらの鍵がないと開きません」
それを聞いてソレントが口を挟んだ。
「待って下さい。アテナがいれば黄金聖闘士は大人しいでしょうが、海闘士や冥闘士はそうはかないと思います」
あまりにもありうる話に亡霊聖闘士たちは思いっきり頷いた。
しかし、エウリュディケーは優しく微笑んだ。
「それは大丈夫です。彼らは人の形をしてはいません」
これには全員が驚いた。
「それでは何の……」
ソレントは自分の言葉で、あることに気付いた。
「まさか女神たちに聖衣や鱗衣を持ってこさせるのですか!」
エウリュディケーは返事をしない。
「とにかくこれから闘士たちを探す」
エリスは黒と青の鍵を取った。沙織は金色の鍵を受け取る。
「オルフェウス!」
エリスは竪琴の名手の名を呼んだ。
「はい」
「私たちが外にいる間、エウリュディケーが休まるよう何か優しい曲を……」
「心を込めて弾かせていただきます」
「他の者はセイレーンが外へ出ないよう見張る事」
エリスの言葉にソレントは抗議した。
「頼まれても出ません」
彼は意地の悪い女神の顔をじっと見た。
「女神エリス、貴女は海闘士の鱗衣をご存じなのですか?」
「海闘士について知らなかったら、最初からこんな勝負はしない」
彼女は簡単に答える。
「ではこれから行ってくる」
エリスと沙織は通路に向かって歩きはじめた。