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海よりも深い青 その20

注意をしながら移動をしていたのだが、向かう先で力ある闘士の存在に気付く。
カストールは動きを止める。
とにかく二柱の女神を守らなくてはならない。
「テティス様。パラス様と此処でお待ち下さい」
「どうしたのですか?」
「直ぐに戻って参ります」
女神パラスの身体を岩に寄り掛からせると、テティスは素直にその傍に座った。
彼は慎重に歩く。
だが、その存在が尋常ではない力の持ち主である事がハッキリと判った時、彼は自分の鱗衣を呼んだ。

★★★
霊廟から飛び出した光。
シーホースの海将軍は一瞬不安を覚えたが、鱗衣をまとったカストールに敵が勝てるとも思えなかった。
「初陣だな」
彼はそう呟くと、海闘士たちに倒した侵入者を牢に入れておく事を命令した。
★★★
次々と仕留められる侵入者たち。
天上界の使者は計画が破綻した事を知った。
元々、弔問は自分たちだけの筈だったのに、冥界が同じ日にすると言い出し聖域側も行くと言い出した。
ならば別の日に改めて出直せば良いのだが、海側がこの日以降霊廟は封鎖すると秘密裏に天上界へ通達をだしたのであ る。
海皇ポセイドン直々の言葉を疑うわけにはいかず、強引に計画は実行される。
自らの主である大神ゼウスを守る為にも、女神パラスを虚無の闇に閉じ込めなくてはならない。
次世代の女神は優れた能力を潜在的に持って生まれている。
その力が目覚めれば、オリュンポス神族の栄光は終わるのだ。
天上界の使者は懐に隠し持っている『殃禍の短剣』の柄に手をかけた。
★★★