同じように別の異次元牢の前ではリュムナデスの同士の会話がなされていたが、こちらは少々事態が別の方向に流れていた。
カーサが過去に対戦した事のあるペガサスの聖闘士の事を、初代のリュムナデスが気にかけているのである。 「そんなにも生意気なガキなのか?」
カーサに尋ねられて、シーホースの海将軍は頷く。 「パラス様は気に入っていた様だが、あの聖闘士は馴れ馴れしい!」 青銅聖闘士という下っ端が、自分達の女神と言葉を交わすと言うのがどうにも腹立たしいと初代達はいう。
何故、奴が再び聖闘士となってカーサの前に現れたのか。 この事に初代はかなり動揺していた。 「根性で生まれ変わったんじゃないのか?」
カーサの言葉に彼らは首を傾げた。 「生まれ変わり?」 「東の方で、そういう思想があるらしい。 魂は身体を失っても、未来に再び身体を得るとか何とか言っていたな 専門家ではないから詳しい事は知らないがな……」
彼ら三人とも胡散臭いと思ってはいたが、二人のリュムナデスという現実がその言葉を嘘だと決めつけさせてはくれなかった。 「……では、その思想が本当なら、いつかパラス様に我々は巡り逢えるのだろうか?」
遠い未来。再び宿命は自分達を女神と引き合わせてくれるのか。 儚い夢だなと、彼は言葉を続けた。 カーサは面倒くさそうに答える。
「聞いた話によると、生まれ変わる前の記憶は大人になるにつれて忘れてしまうらしい。 探すのなら子供のうちだろう」 カーサが否定的な事を言わなかったので、彼は少しだけ嬉しそうに笑う。
「あの方は西の地にヘスペリデスの園があるのなら、遥か東の地に何があるのか見てみたいとよく仰っていた。 もしかすると、冒険心を起こして東へ行かれているかもしれないな……」
この時カーサはペガサスの聖闘士は日本人だった事を思い出した。 (まさかな……) 初代のリュムナデスの海将軍は精神が同調していた筈だが、カーサの疑問に対して何も言わなかった。
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