INDEX

海よりも深い青 その9

海底神殿から離れた所にある牢屋に、4名の海将軍は向かう。
その時、初代の海将軍達は彼らの置かれている立場を、別の時代から来た仲間に説明した。
傷つけられた女神。
怒り狂う海将軍と海闘士たち。
その中でもクリュサオールとリュムナデスの二名は聖域と天上界に対して宣戦布告をするべきだと息巻いていた。
それ故に彼らは鱗衣を剥奪されて異空間の牢屋に閉じ込められる。
強過ぎる力と想いが通常の牢屋では閉じ込めきれないと判断されたのだ。
二人の来訪者は静かに聞いていた。
「こんな説明よりも、貴方たちは彼らから直接聞いた方がより状況を理解し易いだろう。
同じ鱗衣が主と認めた魂の持ち主なのだから……」
ただ、牢屋が別々の場所にあり、尚且つ閉じ込められている方の海将軍がどんな行動を起こすのか判らない。
故にクラーケンがクリシュナを、シーホースがカーサを案内する。

★★★
「……パラス……。私が守るから、安心しなさい」
女神テティスは神殿内の一室で、可愛がっていた子を抱きしめる。
とっさに呪術を使ったので、海闘士如き人間に見つかる恐れはない。
「……パラス……」
眠る様に動かない女神を抱きしめて、彼女はポロポロと涙を零した。
マーメイドの鱗衣がそっと女神テティスを見あげている。
★★★
その牢屋は、牢と言うよりも得体の知れない壁と言った方が良かった。
クリシュナは息をのむ。
周囲に描かれている紋様は、牢屋の中の海将軍を閉じ込める為に必要だったという。
そして今の時代のクリュサオールの鱗衣は、別の場所でやはり同じように異空間に密閉されていると説明された。
そこまでやらなければ、この人物の力は押さえ込めない。
クリシュナは一緒に来ていたクラーケンの海将軍に何か言われたわけでもなく、牢屋に近付いた。
★★★