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海よりも深い青 その7

神であり弟であるポリュデウケースと同じ時に生を受ける。
母親が女神ネメシスの依代だった所為なのかもしれない。
彼とは母親は違えど運命の双子だった。
数年後、同じように妹たちが生まれる。
例え何があっても、弟と妹達を守ると決めていた。
だが、弟が神であると言う事を朧げながらに理解し始めた時、何か溝の様なものを感じた。
運命の双子ではあるが、きっと自分が年老いても、弟は若者のまま。
いずれ溝は亀裂となる。そんな気がした。

★★★
そしてある年、どちらかが双子座の黄金聖衣を受け取るという預言をされた。
地上を守護する為に女神アテナを頂点とする聖域が作られる事になったので、その一員として地上の正義を守る為に力を貸して欲しいと言う。
だが、神々の気持ちはポリュデウケースの方を向いていた。
彼の母神ネメシスは女神ニュクスの娘である。 その血族を味方に引き込みたいと言う思惑があったのだろうし、人間である自分よりも神である弟の方が相応しいという理由は判らないわけではない。
だから自分から弟を推薦した。
自分は弟を助ける影で良い。
それで皆が幸せになれれば……。
★★★
そして影として目立たない様に自分を押し殺していた日々。
最初は弟の為だと割り切っていたのだが、それが徐々に押さえきれなくなっていく。

それがある事柄をきっかけに、鬱屈したものから開放された。
★★★