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海よりも深い青 その6

海将軍たちが行動を開始した後、霊廟内にはカストールとシードラゴンの鱗衣が残される。
「シードラゴン……」
彼は久しぶりに自分の鱗衣を見た。
本来ならば今日は海底神殿へ来る予定ではなかった。
まだ、正式に任命された訳ではないからだ。
ただ、女神ペルセポネの来訪と言う事で急に呼び出されたのである。
「シードラゴン。
お前はここに居るんだ。 いいな」
カストールに言われてシードラゴンの鱗衣は一瞬戸惑う。
こんな時にこそ主と共に行動しなくてはならないと言うのに、躊躇ってしまった。
そして既にカストールの姿は何処にも無く、シードラゴンの鱗衣は霊廟内に取り残された。

★★★
(親友である女神パラスの死に関わった存在を、女神ペルセポネがどう思うか……)
もしかすると会った途端に攻撃されるかもしれない。
だが、避けて通るわけにはいかなかないし、むしろ、死を賜る事になっても良いと思っていた。
それが自分の恋心の代償だと思えたからだ。
彼は周囲を見回しながら、美しい海の女神の事を考えた。
★★★