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海よりも深い青 その5

「……本物をまとう以上、我々と同じと言う事だろう……」
一番年若いカストールの言葉に、他の海将軍たちは困惑しながらも頷いた。
「ここはわけを話して、協力してもらおう。
もう時間が無い……」
シーホースの海将軍が彼らに近付き、話しかける。
すると二人の男は各々名乗った。
クリュサオールの鱗衣をまとっているのが、クリシュナ。
リュムナデスの鱗衣をまとっているのがカーサ。
ここはいつの時代だと向こうから聞かれた。
故にシーホースは答える。
「我々は……、そうだな。初代の海将軍と言えば良いのか?」
鱗衣たちの初めての主。
そう言われて、二人の男は非常に驚いた表情をした。

★★★
「どうする。クリシュナ」
「どうもこうもあるまい……」
二人は謎の女に別空間に閉じ込められたのだが、その空間も何かの加減で現状が維持出来なくなったらしく、この時代へと弾き飛ばされた。
彼らがこの場所を別の時代と認識したのは、相手の鱗衣が本物であると言う事が直ぐに判ったからである。
そして自らの半身とも言うべき鱗衣が警戒していない。
ならばこの場所が海底神殿の中であり、彼らもまた本物の海将軍であると信じる事が出来た。
ただ、何処から説明したものかと考えてしまう。
はっきり言って鱗衣が一緒でなければ、別の世界から来た仲間です等と嘘くさい発言を相手が信じるとは思えない。
もし反対の立場なら、自分達だって素直に信じないだろう。

だが、鱗衣が一緒だったからこそ、いつの時代であれ相手を信じる事が出来た。
★★★
「とにかく我々は今、非常に危険な立場に置かれている。
協力してくれ」
海将軍たちは、ほとんど強引に二人の男を霊廟から出す。
「我々は二人の事をこっちのクリュサオールとリュムナデスに伝える。
口裏を合わせておかないと、後で面倒な事になるからな。
そっちはテティス様を探してくれ。 パラス様を絶対に見つけるんだ」
仲間の言葉に、セイレーン・スキュラ・シードラゴンの三名は頷いた。
★★★