その7 「すみません……。 浮かれていました」 冥界で一番偉い方に対して、浮かれた態度など以ての外。 そう考えてグリフォン君は、シュンとしてしまいました。 「そうなのか? 冥衣にも楽しい事があるというのは、良い事だ。 見ていて私も楽しかったぞ」 パンドラ様の言葉に、グリフォン君は首を傾げました。
その8 冥衣たちは自分のご主人様と居るのが、一番好きな時間です。 だから、魔星の導きで自分のご主人様と出会った冥衣たちは、毎日がとても楽しいのです。 でも、自分達はそれをどう示して良いのか判らないので、特に表現しないだけだったりします。
その9さっきの尻尾を振るという行為も、グリフォン君は本を読んでみての行為でした。 地上で暮らしていた自分のご主人様に対して意志表示するには、地上の動物の真似が良いのかなと考えたからです。 ただ、何でそのような本が冥界にあるのかが、謎ではありましたが……。
その10 パンドラ様が、ある部屋の前で立ち止まりました。 こういう時は、配下の冥闘士が扉を開けるのですが、あいにく周囲には誰も居ません。 グリフォン君は急いで、扉を開けようとしました。
その11 後ろ足で立ち上がって、前足で一生懸命ノブに触って扉を開けます。 お陰で扉はグリフォン君の前足の爪で、傷だらけになりました。 『わ〜〜〜っ。扉に傷を付けちゃった!』 この失態にグリフォン君は思わず涙ぐんでしまいます。 「良い。気にするな」 パンドラ様は、グリフォン君の頭を撫でると、部屋に入って行きました。
その12 パンドラ様は小さな箱を引き出しから取り出します。 そして グリフォン君の前に青い綺麗なリボンを見せました。 グリフォン君は『青』という色は知っていましたが、そのリボンの色は何処か不思議な感じがしました。 「綺麗な色ですね」 「これは空の青だ。 其方に此れをやろう」 パンドラ様の言葉に、グリフォン君はビックリしました