その1 冥衣のグリフォン君は、 ご主人であるミーノス様が大好きです。 いつも一緒にいるのですが、ご主人様はあまり自分を見てはくれません。 ワイバーン君やガルーダ君を見ていると、すごく羨ましくなってしまいます。
その2 ある日、グリフォン君が冥界のお城をトコトコと歩いていると、 綺麗な女性に呼び止められました。 この方はパンドラ様と言って、冥界の支配者である冥王様のお姉さんです。 ある意味、冥界で一番偉い方です。 (噂では冥王様もこの方には逆らえないそうです) グリフォン君は緊張しました。
その3 『ミーノス様、何かやったのかな?』 グリフォン君は、結構シビアな事を考えてしまいました。 ご主人様は大好きですが、あの方は基本的に人に頼らない方なのです。 『でも……僕、あまりお役に立てない……。』 グリフォン君も最初は一生懸命お手伝いをしていたのですが、 ご主人様はそれでもやっぱり自分を見てはくれません。
その4 「ちょうど良い所にいた」 パンドラ様は手招きをします。 グリフォン君は何が起こるのかと、内心ドキドキしました。 「なんですか? パンドラさま」 するとパンドラさまはグリフォン君をじっと見た後、彼の黒い翼に手を触れました。
その5 グリフォン君たちは、実は女性に触られるのが好きです。 神話の時代に、冥王さまの姉上さまと冥妃さまが自分たちを可愛がってくれた記憶があるので、とても懐かしいのです。 「其方、付いて参れ」 パンドラ様の言葉に、グリフォン君は首を傾げました。
その6 『ミーノス様に渡す物があるのかな?』 何にしても自分が主人の役に立てるというのは、嬉しいものです。 足どり軽く、グリフォン君はパンドラさまに付いて行きました。 尻尾が左右に楽しそうに動きます。 「機嫌が良いな。 何か嬉しい事でもあったのか?」 パンドラ様に言われて、グリフォン君は顔が赤くなりました。