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光る花
その2 |
そして夜中の12時。
ユリティースは聖域の外の荒野に立っていた。 満天の星が美しく輝いている。 「それじゃ、あたしは隠れているよ」 そう言って蛇遣い座のシャイナは岩影に移動する。 オルフェは所用があって女神アテナのいる日本に行っているのだ。 無視をしようかとも思ったが、やはりそれは出来なかった。 それに彼の目的がよく判らない。 どうしようかと悶々としていた時に、声をかけてくれたのがシャイナだった。 シャイナはユリティースの頼みに最初は驚いたが、相手が相手だけに無視をしろとも言えず、 事態の見届け人として一緒にいる事を承諾した。 (しかし、いったい何が起こるんだろうか……) そしてシャイナは気配を隠す。 しばらくして、ワイバーンの冥衣をまとったラダマンティスが闇の中から現れたのだった。 |
その物々しい雰囲気に、ユリティースは一瞬たじろぐ。 「こんな時間に呼び出して悪かったな。 こいつを昼間に連れ歩くわけにはいかなかった」 そう言って、彼はワイバーンの冥衣を外す。 「ワイバーン……君」 ユリティースは自分を見つめる闇色の翼竜を見た。 「こいつがお前に会いたがっていた。 あの時は敵と味方に別れたからな……」 ユリティースは驚きのあまり、目を見張った。 「俺が居たのでは、落ち着かないだろう。 少し離れさせて貰う」 ラダマンティスはそう言って、その場から離れる。 この会話を聞いていたシャイナは、自分の事を言われたのかと少々緊張した。 |
自分の主を見送った後、ワイバーンはユリティースの方を向き両方の翼を大きく広げる。 雄々しい姿に、彼女は懐かしさを感じた。 「元気そうね」 彼女はそう言って両膝をついて、視線をワイバーンに合わせる。 「ワイバーン君。触っても良い?」 『……』 頷く仕草を了承と受け取った彼女は、恐る恐る冥衣の身体に触れた。 「あの時は色々と、ありがとうね……」 『……』 「ワイバーン君のお陰で、オルフェが居ない時でも怖くなかった……」 そして彼女はワイバーンの冥衣にそっと抱きつく。 「やっと、お礼が言える……。 ご主人様にも伝えてね。 お陰で、冥界に居た時に悪しき存在に酷い目に遭わされずに済みましたって……」 『……』 ワイバーンは嬉しそうに頷いた。 |
ワイバーンはユリティースが花畑に居た時、何故そこに光があるのか不思議だった。 |