貴鬼が聖域に戻った後、紫龍はさっそく動いた。 場所は荒野のようなところにある、小さな村。 彼は玄武を担いで、とある家の戸を叩く。 「村長はおられるか?」 夜を迎えた小さな村だったが、紫龍は迷わなかった。 しばらくして戸が開き、背の小さい老人が現れる。 「あなた様は?」 「村長、初めてお目にかかる。私は玄武の兄弟子に当たる紫龍と申します」 紫龍が肩に担いでいる者を見て、村長は驚く。 「もしや担いでいるのは玄武さんですか!」 「はい。今、蘇生の最中です。村で匿ってください」 すると村長は家の者に出掛けると言って、外へ出た。 「今は瞬先生が旅に出ています。その家を使ってください」 紫龍は頷くと、村長の後へ続く。 |
瞬の使っていた家は綺麗なままで、紫龍はとにかくベッドに玄武を横たわらせた。 |
「紫龍さん……」 |
紫龍は相づちを打つに留める。 |