古き時代の女神の見守る闇の遺跡。 今、この神殿はどこにも出入り口など無かった。 「……真実が明かされるまで、女神と聖闘士たちを狙うということか」 玄武の問いに、魚座の黄金聖闘士であるアモールは笑みを浮かべる。 「どうだろうね。私はもう姉上に協力する気はないけど、復讐を止めさせる気もないから、そっちで勝手にやってくれればいいよ。降りかかろうとする火の粉は払うけどね」 すでに多くの犠牲を払っているのだ。 メディアもアモールも中止や忘却という結末は今更と言うであろうことは、玄武も分かっていた。 「闇の神アプスを倒したんだ。聖闘士たちには頑張ってほしいね。あっさりと別の敵に倒されたら、こっちが間抜けに見える」 「……」 「でも、今の聖域はボロボロだよ。姉上が人の命を代償に聖衣を幾つか封じたから」 その言葉に玄武は拳を握る。 「ソニアたちを封印のための生贄に使ったのか!」 怒りのあまり彼はその拳で、アモールの座っていた柱を打ち砕く。 アモールの方は彼の行動を予測していたらしく、軽やかに場所を移動した。 「試しに狼座でやったら、思いの外上手く封印が出来てね」 彼の笑みは、どこか誇らしげだった。 |
栄斗の前に狼座の聖闘士だった芳臣という青年は、意外にもマルスの行動を誰よりも詳しく察知できたのである。 |
玄武は闇の遺跡に一人っきりになる。 |