ANIME-目次

   

続・異変 3

 溶ける氷と凍れる水。既にピラミッドと外を繋ぐ巨大な通路は、その現象が繰り返し行われたため原形をとどめてはいなかった。
  しかし、アイオリアは特に焦ったりはしない。
 カミュが中にいる。ならば通路など再び作ればいい話なのだ。

「さすがは黄金聖闘士」
 パエトンはヒビの入った自分の鎧に手を当てる。
「まともに食らえば、粉々になるところだった」
 それが出来なかったのはアイオリアの体調が完全ではなかったからである。
 女神ヘカテが聖闘士たちを完全復活させるには、沙織がヘカテの用意した試練をクリアしなくてはならない。
 それゆえ今の黄金聖闘士たちは通常の半分くらいしか実力を発揮できずにいた。
「貴様を逃がすと思うか!」
 アイオリアは再び攻撃を仕掛ける。ところがいきなり濃い霧が発生し、パエトンの姿が掻き消えた。
「待て!」
 そして霧が晴れた後、氷の大地に立っているのはアイオリアだけだった。


 ピラミッドの方では海将軍たちが次の部屋に向かう。実はトールとの闘いで部屋が大破、そのため反対方向にあるはずの部屋に続いている廊下が木っ端みじんとなってしまったのである。
 しかし、彼らを守るためにピラミッドを凍らせているカミュに力を抑えてくれとは言えず、一つ一つ攻略することになった。
「この部屋の奥にいるものが呼んでいるのは私のようだな……」
 一歩前に出たのはクリュサオールの海将軍クリシュナ。彼は金色に輝く槍を強く握った。
「ということは、この部屋を守護しているのはアルベリッヒか……」
 メグレスの部屋に到着したということは、今は行くことに出来ない方向にはメラクとドウベの守護する部屋があるということ。
 ヒルダはその説明にドキリとした。
「とにかくまともに闘っても消耗戦になるだけだ」
 アイザックはクリシュナに耳打ちをする。
「……わかった」
 クリシュナは槍を高く掲げて、任せろと言わんばかりのしぐさをする。
 彼の入った部屋は急に暗く閉ざされる。

 しばらくして闇の中で二つの闘気が激しくぶつかった。