暗闇の中で、それは僅かな光を放つ。 |
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氷のピラミッド周辺に生暖かい風は吹く。それと同時に建物を取り囲む大地から水が吹き出した。 |
「敵襲か!」 いきなり出現した大水は、海将軍の作った入り口付近にまで達しようとしていた。 「このままではここは湖になるぞ」 ミロは中の様子を確かめようと、ピラミッドへと向かう。 シュラもまた事態の異常性に危機感を覚え、ミロの後を追った。 ところが途中で足元の氷がアメーバのような動きを見せたのだ。 「これは!」 水は何度切られても修復を繰り返し、シュラを蒼い空間へと引きずりこむ。 それはとても静かな出来事で、ミロもアイオリアもシュラの身に何が起こったのか知らない。 このとき地上では周囲に熱い風が吹き始めた。 「?」 アイオリアは獅子座の黄金聖衣が何か音を出しているような気がした。 だが、実際には何も聞こえはしない。 「獅子座と山羊座を寄越すとは、なんたる好都合」 仲間ではない者の声にアイオリアは振り返る。 そこにいたのはパエトン。 明らかに殺気を漂わせていた。 「ウガルルムのパエトン……か?」 「獅子座のアイオリア。貴様を倒せばウガルルムは進化を遂げる」 「ならばここで完全に破壊させてもらう」 熱い風の影響でピラミッドの氷が溶けようとしている。 カミュは全神経を集中させた。 |