ANIME-目次

   

異変 4

 氷のピラミッド攻略は、まずは巨大な蛇にも見える氷柱を利用して影に出入り口を作ることから始まった。
「俺がやる」
 壁伝いに氷柱を移動すると、ある場所で得体のしれない力を強く感じる。
 彼はそこに狙いを定めた。
『気をつけなさい』
 彼は不意に女性の声を聞いたような気がした。
 しかし、この場にいる唯一の女性はヒルダのみ。そして彼女はまだ地上にいる。
(気のせいか?)
 それにしてはハッキリ聞こえたような気がした。
 アイザックの一撃が氷の壁に亀裂を入れる。
 その瞬間、亀裂から光が迸った。



──待ッテイタゾ。


 背後にいる誰かに言われて、シュラは振り返る。
(何だ……今の声は)
 女性の声に思えたが、あまり確証は持てない。
 ピラミッドの方では海将軍たちが次々と中へ入って行く。
「さすがは海将軍だな。力業で穴を開けやがった」
 カミュもまた女神から色々と言われているらしく、ヒルダとミーメに幾つか注意を伝えていた。ミロとアイオリアは面白そうにその様子を見ている。
 だが、シュラはとにかくイヤな予感がした。

 沙織は何かを予測していたのか、カミュに氷のピラミッドについての攻略方法を伝えていた。
 つまり巨大な姿を持つと伝承されているクラーケンの鱗衣の所有者であるアイザックが、やはり巨大な蛇であるヨルムンガントの神闘衣をまとうガンマ星・フェクダのトールを助ければ良いのである。
 それ以外の海将軍では失敗するとまで彼女は断言をした。
 情報源が何なのかはカミュには分からない。
 しかし沙織の言葉は絶対だった。

 アイザックはそのまま自分が気にかかる場所へ歩みを進める。
 そして再び何らかの力を強く感じた場所の壁を打ち砕く。
 そこには真っ暗だが部屋のようなものがあった。