ANIME-目次

   

異変 3

 今回、聖域からカミュ、ミロ、アイオリア、そしてシュラがサポート役としてこの地にやって来た。
 その氷のピラミッドを見たとき、シュラは何かいやな予感がした。
 これは明らかに人以外の力によって作り上げられている。そんな建造物を呪術がなんたるかを知らない聖闘士たちが関わっては、もっと悪い方向に事態が展開しそうな気がするのだ。
 そう考える最大の理由は、今の自分たちは仮りの体であるということ。 女神ヘカテの出す『女神の試練』をアテナがクリアしないと、元の力と生命力を取り戻すことが出来ないということ。
 ところがアイオロスは「大丈夫だ!」と簡単に断言した。
「……」
 とにかく黄金聖闘士達は聖域の守護とデスクィーン島の調査もしなくてはならないので、あまりこちらに人数は割けない。
(無事に崩して終了となればいいのだが……)
 問題はこの建造物に力を与えている存在の扱い。
 何しろ神闘士たちと海将軍の間には深くて暗い溝が存在するのだ。そのわだかまりが事態の解決を妨げるようなことはあってはならない。
 ということで、彼らもまた実力行使で問題解決にあたれと厳命されていた。


 ヒルダは海将軍たちを初めて見たとき、胸が痛くなった。
 彼らの仕える神がアスガルドに騒乱を巻き起こしたのだ。
 しかし、自分が強ければ起こり得なかった事態だとも言えた。

(冷静にならねば……)
 ヒルダは持ってきた槍を強く握った。
 そこへカノンが近づく。ミーメがヒルダの前に立った。
「お前がアスガルドの巫女か」
 カノンはヒルダを見る。
「……は、はい」
「神闘士たちと戦闘状態になったら手加減は出来ない。それだけは理解してもらおう」
「……」
 言葉を失うヒルダからカノンは離れる。その背を見ながら彼女は海将軍はやはり敵なのだと感じた。これにはカミュもなんて言って良いのか分からなくなる。
そこへミロがやって来た。

「アスガルドの巫女、それなら戦闘状態になる前に対処すればいい。海将軍たちもそれまでの時間稼ぎはやってくれる。あれはそういう意味だ」
 そのアッサリとした言い方に、ヒルダとミーメは面食らう。
「出来るのですか!」
「出来るかどうかはわからないが、とにかくやってみよう。今回は俺たちもサポートに廻れと言われている」
 自信満々に言われて、巫女は希望の光を見たような気がした。