ANIME-目次

   

異変 2

 手紙には幼子の落書きのようなものが描かれていた。それが絵なのか文字なのかサガたちには分からない。
 そこへカミュとアイザックが海辺の社殿にやって来た。
 彼らは氷のピラミッドの事を沙織に伝える。そしてウガルルムのパエトンと名乗った裏切り者のこと。アイザックの言う「巨大な蛇」という言葉に、彼女は『ヨルムンガント』の事を思い出す。
 しかし、これから自分は女神の試練を受けなくてはならない。
 使者に待ってくれと言える立場ではないので、どうしても氷のピラミッドについて関わるわけにはいかなかった。

「ヒルダにわけを話して、協力してもらいましょう」

 アスガルドの巫女の名を出されて、海将軍たちは眉を顰めた。


 聖域からの使者役はカミュ。妹のフレアとイサのことについては彼の力が必要だし、彼もまた真摯に対応してくれているので人となりは理解しているつもりである。
 それでもヒルダとミーメは当初、彼の言うことを信じられなかった。
「本当に彼らはそこに閉じ込められているのですか」
 するとカミュは一枚の紙を出してヒルダたちに見せた。
 絵の方はグチャグチャとした線だが、そこに沙織の字で情報が補足されている。
 それは地上を示す線の下には丸い円が描かれており、説明に『氷=淡水→アプスー』と記されている。
「敵はとある場所を再現するために、氷の大地にピラミッドを作りあげました。そしてそれは神闘士たちの力を使って存在を維持している気配があります」
 ただ、あくまでも推測の範囲である。
 なぜなら聖闘士達にはピラミッドから力を感じても、それが神闘士たちのものなのか断言しにくいからとカミュは説明した。
 ヒルダとミーメは顔を見合わせる。
 ここは実際に行かないと話にならない。

「すぐに用意します」
 ヒルダは決断を下すと直ぐさま部屋を出た。
 巫女は戦乙女であるワルキューレの鎧をまといに行ったのだ。
 どんなに忌まわしい記憶を伴っていても、それは得体のしれない力に満ちた場所にいくには必要なアイテムなのである。