その異変を感じ取ったのは、聖域預かりとなっていた海将軍たちだった。
彼らは沙織たちが女神ヘカテの行う『女神の試練』を終わらせるまで、聖域の海辺にある社殿にいることになっていた。
「様子を見てくる」
アイザックがカミュと共に外出していたため、カノン以外の残り五名が海の様子を見に行く。
「……」
カノンは何となくデスクィーン島のあった場所が原因のような気がしてならない。
そしてその悪い予感は仲間たちの確認によって事実となった。
カノンの呼びかけでサガとアイオロス、そして童虎と沙織も海辺の神殿へとやって来る。
「何があったのですか」
海将軍たちの緊迫した様子に沙織たちも只事ではない事態の発生を察した。
「……悪い事態だ。デスクィーン島の跡地に近づけなくなっている」
「えっ?」
「海が荒れているとか気象条件に因るものではない。防護壁が張りめぐらされているかのように、何かがあの場所を取り囲んでいる」
昨日、彼らは星矢たちを見つけ、遺跡に閉じ込められていたのであろうテティスと謎の少女を助け出した。
そのことがあって今日は何人かでデスクィーン島を詳しく調べようとした矢先の出来事である。
黄金聖闘士達は誰もがアーレスのことを考えた。
その時、一角獣星座の邪武が社殿へ駆け込んで来る。
「沙織お嬢様、潮がこの手紙を!」
沙織は手紙を受け取ると送り主を見たが何も書いていない。すぐに中身を確かめる。
彼女の目は厳しくなっていった。
「邪武、潮はまだいますか?」
「いいえ、オレに手紙を渡すと日本へ戻りました」
とにかく慌てた様子なので、邪武も急ぎの手紙だと判断してやって来たのだ。
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