二人はまず、コホーテク村近くにある修行時に使っていた家に行く。目的の人物は、一度はここへ戻っているのではないかと思えたからである。
ところが村に行ってみると、二人の来訪を驚くヤコフからもっと驚くべきことを聞かされた。
「また、氷のピラミッドが復活したんだ!」
何事かと思い問題の場所に近づいてみると、大地をえぐった巨大な穴の中に氷のピラミッドが淡い光を放ちながら存在していたのである。
問題の人物が教皇であった男の手により狂気に支配されたとき、村人たちを酷使して作ろうとしていたものが地中に出来上がっていたのだ。
「これは……」
このような巨大な建造物が少し前まで誰にも知られずに出来るはずがない。 明らかに人以外の力が働いていると思われた。
このとき、氷のピラミッドを囲むかのように風が渦巻く。
そしてそれが周辺に向かって広がる。この強風にカミュは何とか堪えたが、アイザックは足の力が抜けたのか立っていられなくなった。
思わず膝をつく。
「アイザック」
「大丈夫です!」
風はなおも吹き続け、ピラミッドが光の文様を浮かび上がらせる。その様子を見ながら、アイザックは何か奇妙な感覚に囚われた。文様が強く輝くところに、何かが見えたような気がしたのである。
(……人が、いるのか? 大きな蛇??)
その瞬間、アイザックのいた場所の大地が弾けた。
「ここを見られたからには死んでもらう」
突如として現れたのはパエトン。彼は見たこともないような闘衣を纏っていた。
|