デスクィーン島で何の会話がなされたのか、聖域に残っていた他の黄金聖闘士達の元に沙織から一つの指令が下った。 それは「4名の亡霊聖闘士たちを日没までに捕まえること」 用件のみ書かれた手紙に、童虎は苦笑いをしてしまう。 「いったい何があったんじゃ?」 「まぁ、色々です。とにかく、お願いします」 伝令役としてやって来たアイオロスもまた、困ったように笑っていた。 しかし、この鬼ごっこのようなイベントの最中、意外な人物が聖域入りをする。 |
その人物に最初に会ったのは、貴鬼だった。 (誰だろう?) 貴鬼は童虎に頼まれて、これから春麗のいる五老峰に向かうところだったのだ。 ただ、聖域は十二宮の近くにいればいるほどテレポートなどの力が封じ込められてしまう。 その為安全策として、彼は十二宮から少し離れた場所へ移動していた。 なぜ、その人物が気になったのか。それこそ貴鬼には分からなかったが、とにかく彼は足を止めた。 向こうもまた貴鬼の存在に気がついた。 長い黒髪の青年だが、貴鬼の知っているドラゴンの聖闘士とは雰囲気が違う。 向こうは水のイメージだが、今見ている人物は炎の印象を受ける。 「見つかってしまったか……」 青年の漏らした言葉に、貴鬼は何か嫌な印象を受けた。 全然隠れている様子は無いのに、見つけられたことを不思議がられる。 (なんなんだ? この人は……) 青年が手を前に延ばしたので、貴鬼はとっさに防御の態勢を取った。 その瞬間、二人の間に火花が飛び散る。 あまりの眩しさに貴鬼は目をつぶったが、その光が弱まったころに恐る恐る目を開けた。 すると目の前には蠍座の黄金聖闘士が立っていたのだ。 「ミロか」 青年は懐かしそうに微笑む。 「アーレス様……」 二人の会話に、貴鬼は「知り合いなの?」とミロに尋ねたのだった。 |