カミュをアスガルドに残し、沙織はアイオリアと共に聖域へ戻る。 神闘士達のことについては、女神エリスから詳しい話を聞き出さないとならない。 あの女神は何の理由もなく騒ぎを起こすタイプではないからだ。 むしろ色々なことを計算をして、効果的に争いを起こす。 (彼女は何かを知っている) この推測を彼女は疑わなかった。 しかし、相手はそれこそ神出鬼没な女神である。探そうとして見つけられる存在ではない。 どうしようかと考えながら聖域の神殿に戻る。 悩みながら私室に入ると、そこには争いの女神が立っていた。 「エリス!」 「オルフェウスは戻ったようだな」 何かを見透かすような眼差し。やはり沙織には、この女神が全てを知っているように思えて仕方なかった。 エリスとは地上に戻る前に分かれた。ミーメもまたエリスに尋ねたいことはあったが、さっさと争いの女神は幽霊聖闘士達と共に消えてしまったのだ。 そのため、沙織たちは置いてきぼりを食らったような気がした。 「ミーメはヒルダ……、アスガルドの巫女姫を助け出したわ。今は向こうにいます」 「助け出すとは穏やかではなかったようだな」 争いの女神は面白そうに笑う。 「何者かがアスガルドの大臣を唆したようです」 「……」 「エリス、神闘士たちの所在を知っているのなら協力してください!」 すると、エリスの目つきが鋭くなった。 「それは出来ない」 「えっ……」 「私は言ったはずだ。あの時はオルフェウスを見つけたから分かっただけだと」 ミーメと幽霊聖闘士達との間につながりがあったからこそ、見つけ出すのに成功したのである。他の神闘士とエリスとの間には何の関係もなかった。 「それに神闘士を見つけるのは向こうの役目だ」 「でも!!」 沙織の横をエリスは通り抜ける。 「アテナ。私は明日、海将軍たちを連れてデスクィーン島へ行く。聖闘士たちに邪魔をするなと言っておけ」 その言葉を残して、争いの女神は姿を消す。 しかし、彼女の方としてもエリスへの追求を諦めるわけにはいかない。 翌日、沙織は幾人かの黄金聖闘士を連れてデスクィーン島に向かったのだった。 |