ANIME-目次

   

クーデターの行方 2

カミュをアスガルドに残し、沙織はアイオリアと共に聖域へ戻る。
神闘士達のことについては、女神エリスから詳しい話を聞き出さないとならない。 あの女神は何の理由もなく騒ぎを起こすタイプではないからだ。
むしろ色々なことを計算をして、効果的に争いを起こす。

(彼女は何かを知っている)
この推測を彼女は疑わなかった。
しかし、相手はそれこそ神出鬼没な女神である。探そうとして見つけられる存在ではない。
どうしようかと考えながら聖域の神殿に戻る。
悩みながら私室に入ると、そこには争いの女神が立っていた。
「エリス!」
「オルフェウスは戻ったようだな」
何かを見透かすような眼差し。やはり沙織には、この女神が全てを知っているように思えて仕方なかった。
エリスとは地上に戻る前に分かれた。ミーメもまたエリスに尋ねたいことはあったが、さっさと争いの女神は幽霊聖闘士達と共に消えてしまったのだ。 そのため、沙織たちは置いてきぼりを食らったような気がした。

「ミーメはヒルダ……、アスガルドの巫女姫を助け出したわ。今は向こうにいます」
「助け出すとは穏やかではなかったようだな」
争いの女神は面白そうに笑う。
「何者かがアスガルドの大臣を唆したようです」
「……」
「エリス、神闘士たちの所在を知っているのなら協力してください!」
すると、エリスの目つきが鋭くなった。
「それは出来ない」
「えっ……」
「私は言ったはずだ。あの時はオルフェウスを見つけたから分かっただけだと」
ミーメと幽霊聖闘士達との間につながりがあったからこそ、見つけ出すのに成功したのである。他の神闘士とエリスとの間には何の関係もなかった。
「それに神闘士を見つけるのは向こうの役目だ」
「でも!!」
沙織の横をエリスは通り抜ける。
「アテナ。私は明日、海将軍たちを連れてデスクィーン島へ行く。聖闘士たちに邪魔をするなと言っておけ」
その言葉を残して、争いの女神は姿を消す。
しかし、彼女の方としてもエリスへの追求を諦めるわけにはいかない。

翌日、沙織は幾人かの黄金聖闘士を連れてデスクィーン島に向かったのだった。