ANIME-目次

   

ハインシュタイン城

女神ヘカテの用意する試練。それらを全て成し遂げると、聖戦によって倒された冥闘士たちを女神ヘカテが復活させてくれるという。
他にも聖闘士や海闘士たちも含まれるというのだから、その女神の力は強大の一言に尽きる。
ハインシュタイン城にてラダマンティス達は、パンドラから一つ目が終わったところだと告げられた。
彼らは当然驚いたが、聖戦終了後に自分たちが存在している事を考えると納得しないわけにはいかなかった。

「ところでミーノス。神闘士達のことを何か知っているか?」
黒の短剣によって傷ついた手に包帯を巻きながら、ラダマンティスは尋ねる。
パンドラは隣の部屋で身体を休めているので、その声はやや抑えられていた。
「気になりますか?」
仲間の意地悪な問いにラダマンティスは渋々頷く。
女神の試練について説明を受けたとき、パンドラは一度だけ竪琴の名手を褒めた。
その時の表情が柔らかかったのだ。
それだけのことなのだが、彼には気になった。
すると、冥衣を外して寛いでいるミーノスは腕を組んで悩むふりをしながら答える。
「もともと信仰する神と守護する地域が違いますからね。色々と謎の多い者たちです」
「……」
すると、窓の外を見ていたアイアコスも興味があったのか話に加わる。
「奴らは強いのか?」
そう言いながら、彼はソファに座った。
「氷の閉ざされたアスガルドの守護者たち。七人で構成されているとか……」
「七人? 海将軍と似ているな」
アイアコスのツッコミに、ミーノスは苦笑いをする。
「それは神闘士が北斗七星をつくる星たちの名を継ぐからのようです」
「なるほど」
「そういえば、そのうちの一人の名はジークフリートというそうですよ」
意味ありげな彼の態度にラダマンティスは眉をひそめる。
「何が言いたい」
「悪竜殺しの勇者がそういう名でしたね」
それがどうかしたのか。
ワイバーンの冥闘士は腹立たしさをおぼえたが、聞くのも馬鹿馬鹿しくなってそのまま黙る。

窓から見えるハインシュタインの空は、部屋に漂う険悪さとは裏腹に穏やかな色を見せていた。