ANIME-目次

   

潜むもの 2

エリュシオンまで崩壊した聖戦直後の冥界。そこ は、女神ヘカテの管轄地となった。
天・海・冥の支配者たちも、彼女に対しては一目を置いている。 そんな女神に対して無茶な要求を行うことは、命知らずといえた。 場合によっては、すべての神々を敵に回すにも等しい行為だからだ。
だが、争いの女神エリスには、その理屈は通用しない。 彼女は自由気ままに、隠されていたものを明るみに出す。
それは暴力的な勢いを伴うことが多かった。

目を覚ましたセイレーンの海将軍は、そこにアスガルドの闘士が居るということに驚く。
「何故だ……」
『お前たちの謀が不完全だったからだろう』
このエリスの言葉でミーメは気付いた。
アスガルドでの戦いを裏で操っていたのは海皇ポセイドンだったことを……。

「貴方たちがアスガルドを!」
彼の怒りは尤もだが、ミーメはソレントを殴ることが出来なかった。
隣にいた魔矢によって止められたからだ。
「落ち着いてください。ベネトナーシュのミーメ。
既に海皇の野望は聖闘士たちによって阻止されました」
沙織もとにかく彼を宥めようとする。 そんな様子をエリスは面白そうに見ていた。
止める気はさらさら無いらしい。
「いや、まだ終わっていない。今度は彼らを捕らえて、何をするつもりだ」
不可思議な空間で北斗七星のように配置されている仲間たち。
(あれは幻なんかじゃない)
彼はそう断言できたが、今度はソレントと沙織が困惑していた。
「捕らえて……?」
「彼らは何処かに捕まっているのですか!」
意外な言葉に、ミーメは魔矢の方を見た。

「俺がハッキリと見えたのはオルフェウスだけだ。
でも、確かにあそこには何人かの強い気は感じていた」
魔矢もミーメの言葉を後押しする。
「エリス。それは何処ですか!」
沙織は一番知っていそうな女神に尋ねる。
すると相手はソレントの方を一瞥したあと、薄く笑いながら言った。
「私はオルフェウスを探しただけだ。場所など目印でも無ければ何処かの空間だとしか言いようが無い。
それよりも、どうやら海皇の行動を利用した者がいるらしいな。
海将軍たちの上を行くものが居るのは結構な話だ」
その楽しそうな言い方に、今度はソレントの方が不機嫌になったのだった。