ANIME-目次

   

対となるもの

生命力を失ったかのように枯れた木々のみが存在する森。
ギガースはパエトンを伴ってやって来た。
二人は言葉を交わすことなく、森の奥を突き進む。
そしてやって来たのは、奇妙な石が円形に置かれた広場だった。

「聖域が聖戦を始めたのなら、神と黄金聖衣が対峙する事もあろう」
ギガースはそう言いながら、石に触れる。
「しかし、本当にそのような事があるのでしょうか?」
パエトンは懐疑的に答えた。
「黄金聖闘士がまとう限り、黄金聖衣が壊れることはあり得ないように思えます」
「それは大丈夫だ。何のために策を巡らせ、長い時をかけて聖域の情報を操作し、黄金聖闘士たちを滅ぼしたと思う。
聖闘士どもは目の前の勝利のために、黄金聖衣を使う」
森に風が吹く。
どこからか木々の鳴く音が響いた。
この時、石群のいくつかから光が発生する。
光は線となって大地の上を走り、他の石たちに向かって伸びた。
その線はいつしか模様となって、未だに光を発しない石を照らす。
「聖闘士どもが黄金聖衣を壊したようだ。 神話の時代から壊れたことの無い聖衣を……」
小柄な男が大声で喜びの声を上げる。
「しかも、一度に五つも壊してくれた。 我等の闘衣の封印が解けるぞ」
光は石を砕き、その中からは奇妙な形のオブジェが次々と現れた。
「ギガース参謀長。 壊れた黄金聖衣は獅子座と乙女座、天秤座に射手座に水瓶座のようです」
興奮したようにパエトンも叫ぶ。
「やはり対なる闘衣の破壊が、一番手っとり早いようです」

次々と発生した光の動きも、しばらくして落ち着きを見せる。
これにより完全に姿を現した闘衣もあれば、光を身に取り込み少しずつヒビのはいった石もあった。
「あの方に早速伝えなければ」
ギガースとパエトンは闘衣をそのままにして、その場から立ち去る。
その背後では、石の一つに表面の一部がゴトリと崩れ、中から光が溢れだした。