ANIME-目次

   

竪琴使い その2

「出口はこっちだ。
この流れる水の上から外れるなよ」
知っているような気がする闘士の言葉に、ミーメは足元を見た。
青い世界に一筋の道が出来ている。
それは無機質な床を流れる細い小川だった。
だが、いくら走っても出口らしいものは見えない。
彼は自分の判断に一抹の不安を覚えた。
しかし、前を走る闘士が敵だとも思えずにいる。
正体のよく分からない闘士の後を追いながら、ミーメは不意に相手の名前を思い出す。

(彼は魔矢か……?)
その言葉がきっかけなのか、彼は今まで感じていた不安が少しずつ拭い去られてゆく。
(だが、彼は夢の中で見かけた人物だ)
それではこれもまた夢なのだろうか?
ミーメは周囲の様子を見ようと、いったん立ち止まると後ろを向く。
すると揺らめく空間の中に、北斗七星と同じ配置で神闘士の仲間たちが浮かんでいたのである。

「これは!」
ミーメは戻ろうとしたが、再び魔矢に腕をつかまれた。
「気付かれたぞ!」
魔矢の声と同時に、辺りを強い光が襲う。
ミーメは思わず目をつぶった。
足元の床が崩れる。
水を全身に浴びる。
そして壁に叩きつけられたかのような衝撃を感じたあと、彼の意識は遠くなっていったのだった。