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翌日、ライオンの子供については聖域中に広まっており、獅子座の黄金聖闘士が育児疲れを起こすかもしれないとまで話が進んでいた。 ともかく、ライオンのアイオリア嬢のいる獅子宮には入れ代わり立ち代わりに人がやってくるようになる。 晴れた日など運動と称して散歩に連れてゆくと、女官などが差し入れをしてくれたりした。 しばらくして彼は気がつく。 最初は単にすばしっこい仔だと思っていたのだが、アイオリア嬢は瞬間移動の能力を持っていたのである。 (これが聖域に来た理由か……) 後から渡された書類によると瞬間移動の距離は大したことはないが、この能力のおかげで元いた動物園で飼育員がノイローゼになったらしい。 (たしかにオリに鍵がかかっているのに、平気で外にいたら驚くだろう) それが原因なのか、母ライオンが急に育児拒否をしたと記されていた。 そうなると今度は人の手で育てることになるのだが、同時に不審者にまとわりつかれた飼育員の身に危険が迫ったのである。 書類には大雑把なことしか書いていないが、結果としてこの仔ライオンの事を知った女神(アテナ)が彼女を死んだことにして引き取ったということだった。 だから今のアイオリア嬢には受け入れてくれる動物園や施設は無い。 しかし、こんな特殊能力を持った彼女と見合いをするライオンが本当にいるのだろうか。 何もかもが彼の予測の範囲を超えていた。 |
そしていよいよライオンのアイオリア嬢が見合いをするという日、獅子座の黄金聖闘士は彼女と一緒に小高い丘にいた。 |
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