「翼さんの勝ちだ」
次々と封印が完了して、レオたちの周りの魔の濃度が極端に高くなってゆく。まるで真魔界にいるような気がしてくる。
目の前にいる魔戒法師は、もう幻の存在ではない。
すると相手はレオに感謝していると言う。
『──』
「なんだって……」
その言葉にレオとシグトは絶句してしまう。
「この施設がホラー用蠱毒の実験場……」
半永久的に回復し続ける特殊ホラーを有効活用するために、その力に取り憑かれた魔戒法師たちは、次々と術による生命の進化を行い続けた。ホラーも人間も、強き力を得たい魔戒法師も材料にして。
その中で唯一、この実験に足りないのは聖なる存在だった。霊獣はもとより聖なる力を継承した存在も、ここに近づくことはなかったのだ。
それが彼らの言う光の獣であり白き聖なる獣だった。
今やその力を渇望したライバルたちは、白夜騎士・打無によってほとんど滅ぼされてしまったが。
彼は可笑しそうに笑った。
「そんなことはさせない」
レオは鎧を召喚する。封印をするのはシグトに任せていた。
『──』
「お前を倒し、この施設を永久封印する」
そのチャンスは魔導列車を失っている今しかないのだ。誰かがこの施設に価値を見いだして、また何かと連動させるようなことはあってはならない。
「シグトさん、後はお願いします」
レオは敵に向かって駆けだした。
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