翌日、僕はシグトさんのところに行く。もしかするとシグトさんの師匠だったアカザさんの知り合いを、彼が知っているかもしれないと思ったからだ。
彼の店である'あかどう'にて話を聞くと、確かに一人だけまだ連絡の取れる人がいるという。
「でも、この間連絡したとき、知らないと言われて怒られたんですよ」
「もう一回、お願いします」
こうなったら、布道の名前と涼邑零、道寺の連名でお願いした。
すると会いたいから店で待っていてくれとの返事。シグトさんは目を丸くして、僕の顔を見ている。
「どんな術を使ったのですか?」
「僕も分かりません」
でも、効果があったのは二人の銀牙騎士の名前だと思う。その人にとってどんな意味があるのかは分からないけど。
しばらくしてかなり年輩の老人が店にやってきた。シグトさんが対応すると、老人は怒りながらも僕の方を見る。
「レオさん、この人がレオさんにだけ話したいそうです。オレは店にいますから、二人で地下におりてください。それから彼の名前は聞かないでください。レオさんの迷惑になりますから」
その言葉に驚いたけど、それこそ事情は聞いてはいけないのだろう。シグトさんがあとでお茶を用意すると言って、地下室に続く階段に案内してくれた。
そして僕は老人から驚くべきことを聞く。
それはこの事件の答えであり、情報が表に出てこない理由でもあった。
──これは口伝でのみ残せるものじゃ。
つまり明文化してはいけないもの。だからいくら過去の情報を探しても出てこないはずだ。知っている人間は口を閉ざしていたのだから。
聞いた僕自身、心が重い。
話を終えた老人を見送ると、僕は緊急事態と言うことで一人で問題の場所に行くことにした。
『大丈夫かい? レオ』
「大丈夫、無茶なことはしないよ」
本当に彼の言っていることが正しいのか確認をしないと、皆に情報を伝えられないからね。
僕は魔戒道を作ると、目的地のそばに向かった。
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