今、僕の目の前でサバックの頂上戦が行われている。
僕はその会場で、優勝者に一枚の界符を渡すという役目があった。
手の中にはあるのは、ギリギリのバランスで作られた特殊ホラーを倒すためのもの。ただ、あまりにもいろいろな力を封じ込めた。おかげで使わないときは魔戒法師が絶えず力抑えないと、手を離してから2時間くらいで自己崩壊が始まってしまう恐れがある。
でも、この一枚を完成させるために、僕と一部の魔戒法師たちはこの一週間ほとんど寝ていない。
特殊ホラー。名はない。
名が付くより前に倒さないとならないから。
名を持ってしまうと、あいつはこの世に存在理由を得てしまう。
そこまで僕たちはあいつを警戒していた。
戦いは零さんと翼さんで行われている。そして勝った方が、死者と会える部屋に入れるのだが、そこにこの界符を貼ってもらわないとならない。
あいつはこの次元に存在するホラーではないから。
一応、この界符ならあいつには効果的なはずだけど、死者と会えるという特別な部屋だ。部屋そのものが危険なものになるかもしれない。
だから魔戒騎士たちはサバックを開くことにした。優勝者がその役目をするという、特例のサバック。
そして強さの順位がついたら、あいつのいる結界を攻略する人間を決めるための試合。
『レオ、なかなか決まらないものだねぇ』
「二人とも実力が拮抗しているんだよ」
本当に凄い。
ここで疲労困憊はして欲しくないけど、一度始まったら止めることは出来ない。あの二人なら、そこら辺は考えてくれるだろう。僕よりずっと優秀な魔戒騎士なのだから……。
『あんたもしっかりしなさい』
うん、エルバ、本当にごめん。本当に僕はみんなに心配をかけてしまった。
あのときのことを思い出すと、自分のバカさ加減に落ち込みそうになる。
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