今や第二兵器は自己崩壊牙が止まり、今度は部品が空間を漂っている状態だった。第二兵器はこれで破壊したということになるのか、それともまだ何かあるのか分からない状態。
そんな中で鋼牙は表情を変えずに聞いているが、ザルバは彼が動揺に耐えているのだとすぐに分かった。
──鈴さんは、レギュレイスの偽物だと言っています。似ているけど違うと……。
前回の天魔降伏の儀のとき、レギュレイスに殺されそうになった少女は、誰よりも敵の傍に長くいた。
その彼女が「本物ではない」と言っている。
「それじゃ、偽物だ」
零は鋼牙の方を見る。鋼牙もまた頷いた。
レオからの連絡は続く。
──それと邪美さんからの連絡です。大昔にレギュレイスの毒を身に受けた守護役が消えたそうです。その方は対レギュレイス兵器を設計し作ったということなので、カオルさんはその方と一緒だったということになります。
しかし、これだけでは状況証拠であって、その守護役がレギュレイスの偽物となり鈴を襲ったと断言はできない。
限りなく怪しいが、その先に命のやり取りがある以上、彼らは間違えたという結果は避けなければならなかった。
──こちらに鷹麟の矢の破片で作られたであろう矢があります。
使う必要があるなら言ってほしい。その言葉に鋼牙は「持ってきてくれ」と伝えた。
「鋼牙。鷹麟の矢を地面に潜らせるのか!」
翼が驚く。
鷹麟の矢を地面に突き刺せば、レギュレイスとその眷族が世界に満ちあふれるという伝承を一番聞かされ続けていたのだから。
ただ、今は白夜ではない。そしてレギュレイスもいない。
亡霊だけが残って暴れているのだ。
「まぁ、こんな膠着状態じゃ、千年経っても何も変わらないからな。それなら向こうに動いてもらうだけだ」
零は鋼牙の案に賛成する。
「銀牙も爺さんも付き合ってくれよ」
魔戒馬・銀牙が大きく縦に首を動かした。
二人の称号持ちが覚悟を決めているのなら、翼もまた「わかった」と言って、空中に漂う部品たちを見る。
自分の大事な妹を殺そうとする者とは、断固として戦う。
彼は自分の背後にいる光の守護役たちに戻るよう告げた。
しかし、彼らは動かなかった。
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