第三の兵器はゲートを出ようとするが、ゲートそのものよりも己の体の方が大きかった。
そのため、うまく外にでることが出来ずに上半身を大きく動かして暴れる。
そんな状態で白夜騎士・山刀翼の渾身の一撃は、見事に異形の竜の後頭部に突き刺さる。
目的の場所はそこから少し離れているが、レオから攻撃しても影響のない場所が限定されていると教えられていた。
そのため、どうしてもあとは自力で目的の場所に移動しなくてはならない。
しかし、第三兵器は翼を振り払おうと頭を動かす。
そして彼が引き離されそうになったとき、地上ではレオが一か八かの勝負に出た。
第三兵器が最優先に行動する攻撃パターンを行わせれば、一瞬でも敵は翼の存在を忘れる。
レオは第一兵器の弱点だった場所に近づくと、その場所に触れたのだった。
この瞬間、第三兵器の動きが一瞬止まる。
何かが切り替わるために、動きがついてゆけなくなったのだ。
レオは反射的に異形の竜から離れる。
その早さたるや、烈花も鈴も目が追いつかなかったくらいだ。
翼は素早く駆け出すと、第三兵器の頭の頂点に隠されていた能力停止用のボタンを押すことに成功した。
第三の兵器である異形の竜は、再び大地に潜ろうとする。
翼は再び魔導馬・疾風に乗り込んだ。
「レオ、鈴たちを頼む!」
彼はそう言って、竜の消えたゲートに愛馬とともに飛び込む。
その後を、今まで木に留まっていた光の鳥たちが追う。
まるで鷹麟鳥の守護役たちが白夜騎士に従っているかのような光景だった。
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