「あれ〜〜〜、くらくらする〜」
「何だ、飲み過ぎか?」 しかし、量としてはそんなに飲ませてはいない。
「……」
鋼牙が彼女の肩を抱き寄せて、体を支える。
「ねむ〜い〜」
どうやら初めて閑岱に連れていって貰えるということで、数日前から緊張と興奮と仕事で睡眠不足状態だったらしい。鈴が荷物の中から大きな布を持ってきて、カオルと鋼牙の肩に一緒にかける。
「体が暖かくなったから、一気に睡魔が来たみたいだな」
しかし、カオルは眠るのが惜しいのか、頑張って起きていようとする。
「カオル、閑岱の里に戻るぞ」
どう考えてもキャンプ慣れをしていないカオルに、この場で眠るというのは無理な話である。
しかし、彼女は眠たい目を擦りながらイヤイヤという風に鋼牙の言葉を拒否した。
「朝日に輝く『木』も見たいの!」
「それなら夜明け前に連れてくる」
「それじゃ、鋼牙が大変だよ。私は大丈夫〜」
そう言いながら寄りかかって、眠ろうとしているのだから世話がない。
彼はカオルを抱き寄せる。
ところが彼女は閑岱の里に連れて行かれると思ったのか、鋼牙の行為を腕を伸ばして拒絶した。
そして爆弾発言をする。
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