賭け話をしてから約30分後、零とレオ、そして翼がほぼ同時にカオルたちのところへ現れた。
「森に惑わされました」
開口一番に、レオは零と邪美に謝る。
その言葉に鈴が邪美を見る。
「何で森がレオさんを惑わせるの?」
カオルもどうして? と、烈花に尋ねる。
しかし、烈花も首を傾げる。
それを説明したのは、翼だった。
「レオたちが通った道は今は誰も使っていない。たぶん、そこに張り巡らされた結界が強力すぎたのだろう」
閑岱の人間に見つからずに『木』に向かうルートの落とし穴に、彼らははまったのだ。
とはいえ、結界そのものはちゃんと作用している。侵入者が使うようなルートを通るのが悪いといわれれば、その通りだった。
「俺は気にしていないよ」
いつもよりも森の中にいるのが長いかなぁ〜という印象だったと零は笑う。
それよりも案内人であるレオの方が精神的に疲労しているのではとレオの方を見た。
「僕は大丈夫です」
これでも鍛えていますと彼が言ったとき、木の葉の光を強くなる。
そして夜に光る木の下には一人の人間が立っていた。
「鋼牙!」
カオルは立ち上がると手を振った。
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