「ところでレオ、見合いはどうなったんだ?」
閑岱へ向かう途中の森で、零はレオにいきなり尋ねる。森は夕暮れを迎えようとしていた。
レオは「いやなことを聞きますね」という顔で零を見る。
『それがねぇ、ほぼ全員から断られたんだよ』
エルバがため息をつきながら答えた。
『何やったの?』
シルヴァの疑問にレオは「何もしていません!」と身の潔白を強調する。
この返事に零とシルヴァはため息をついた。
──こりゃダメだ。『駄目だわ……』
「なんだ、謎解きに夢中になってバッドエンドかよ」
「いいえ、そんなことないですよ」
「?」
レオの説明によると、今回の見合い相手のうち一人は魔窟の攻略に協力してくれた魔戒騎士と婚約したという。
そして他二人もまた他の魔戒法師にお付き合いしたい人がいるということで、丁寧に断わりの連絡が入った。
そして烈花は「修行を優先したい」と言い、鈴は兄の翼が「鈴には早い!」と猛反対したのと、鈴自身も彼を兄のように見ている節があり、レオも妹みたいに感じているので不成立となったのである。
「一番よい結末だと思います」
彼はそう結論をつける。
零はそれを聞いて、「それじゃ、お前の幸せは?」と言いそうになったが、余計なお世話だと思い直した。
レオは魔戒騎士であり優秀な魔戒法師なのだ。本気で狂おしいほどの想いを持てば、それこそ鋼牙のように引き離されても相手を探し巡り会う努力をするだろう。
大切な人を失う怖さを知っているのだから。
このとき彼は一人足りないことに気がつく。
「レオ、姐さんは?」
するとレオがいきなり慌てふためく。
「邪美さんは! その……保留だそうです」
「保留? 何で?? それこそ翼が一番に反対する相手だろう?」
閃光騎士の称号を持つ青年は、本気で困惑している。
「邪美さん、何か考えがあるみたいなんですが、僕には全然わかりません」
「あー、そうだな。俺にも姐さんの考えていることは分からないな〜」
銀牙騎士は思いっきり頷いた。
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