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グリフォン君の空色のリボン

その19
ミーノス様はリボンを丁寧に畳むと小箱にしまいます。
「空色という良い色をパンドラ様は選んでくれました。 とても似合っていましたが、我々は闘う宿命を持ちます。
優しい思い出の品を、常に身につけるということは叶わないのです」
その言葉にグリフォン君は何度も頷きます。
闘う宿命を誇りとし、自分たちは戦場へ赴いているのです。
グリフォン君は小箱をくわえると、自分のお気に入りの場所へと持ってきました。


その20
「そう言えばワイバーンとガルーダも、パンドラ様からリボンを貰ったようです。 見に行ってみましょう」
何やら楽しそうなミーノス様のお供を、グリフォン君は断るようなことはしません。
尻尾をぎこちなく動かしながら、ミーノス様の後に続きます。
『ミーノス樣が小箱をくれた……』
グリフォン君は初めての出来事に嬉しくなってしまいました。
少なくともご主人様は、自分の事を気にかけてくれているのだと思えたからです。


その21
パンドラ様の居る部屋の前で、ミーノス様が立ち止まりました。 グリフォン君もその後ろにつきます。
いつもなら冷静なのですが、今回だけは心が弾んでいるので尻尾だけは小さく動いていました。
「グリフォンは良い子すぎて感情が見えにくい時がありましたが、今は楽しいと思っていいのですね」
ミーノス様の言葉にグリフォン君は驚きました。
そして地上に住む動物たちを紹介した本が、何故ハーデス城にあったのかを察しました。
ご主人様もまた、いろいろとグリフォン君について気を配っていたのです。


その22
「はい。楽しいです」
グリフォン君は嬉しくて仕方がありませんでした。
『ミーノス様がご主人様でよかった……』
もうグリフォン君は、ワイバーン君やガルーダ君を羨む寂しい存在ではなくなりました。
これから先も、ずっとご主人様を護り追いかけよう。
そう心に誓ったグリフォン君でした。


〜了〜