萌え話51 嵐の前? |
アイオロス、サガ、カノンの三名がバーベキュー会場から離れる。にも聖闘士たちがいるので安全なはずなのだが、何故か周辺の闇がさらに深くなったような気がして女官たちが落ち着かない。 「何が出てくるのやら」 アイアコスが面白そうに笑う。 そして瞬から毛布を渡されたとき、ジュネは大丈夫だと断ろうとした。 しかし、一人だけ毛布を受け取らない女性がいるというのは目立つ。それにジュネが聖闘士かもしれないと呪術を行使している者に勘繰られる可能性もある。 「それなら私は囮役になるわ」 運良く?きらびやかな服を着ているのだ。呪術の攻撃が自分にくれば、他の女性陣たちへの被害は少なくなるはず。 すると瞬が彼女の隣に座る。 「ジュネさんは僕が守るよ」 「……」 「だから、勝手に僕から離れないこと」 彼はジュネの手を握る。一陣の風が吹いた。 |
萌え話52 緊迫しています |
当初、聖闘士が複数いて冥闘士が助っ人に来ているのだから、女性陣の安全は約束されたも同然だった。 しかし、事態はそう甘くはない。闇の中から現れた異形の者、それに立ち向かった星矢が戻ってこないのである。 「ペガサスの事だから大丈夫だとは思うが、怪物が出てくるたびに我々がここから引き離されるのは避けたい」 オルフェは腕を組む。一人一人聖闘士たちをここから引き離されては、少女たちへの危険度が高くなってしまう。 しかも怪物が出てくるような環境下では、救援を呼んでもその者たちが本物かどうか怪しく思えてしまう。何よりも敵?の目的が分からない。 「シャイナや魔鈴が早く片をつけてくれるといいが……」 アルデバランもこの状態には困惑していた。 |
萌え話53 何がなんだか |
某女神の神殿へ向かった魔鈴は、そこで熱烈な歓迎を受けた。とにかく女性聖闘士の来訪に、神殿の人間たちは信仰する女神の慈悲を感じたのだ。アイオリアは少し離れた場所で待つ。彼は黄金聖闘士という地位のため、迂闊に他の女神の神殿に近づくと相手もそれなりの対応をしなくてはならず面倒なことになる。それがあって、二人は別行動をしている。 しばらくして魔鈴が神殿から出てくる。近くの村で起こった奇禍について助けてほしいと依頼されたという。 「とにかく、そいつは若い娘を生贄に要求したらしいよ」 村人たちは火を噴く化け物に田畑を荒らされ、怪我人まで出たとのこと。 「どんな化け物だ!」 「さぁ? 伝聞だから向こうにもよく分からないみたい」 直ぐさま二人は村へと向かう。正体を知らない村人たちは、この訪問者たちを神殿側が寄越してくれた化け物退治のプロだと思ったらしい。知りうる限りの詳しい情報と、生贄としての準備をしてくれた。 そして花嫁姿の魔鈴が問題の場所に立つ。 アイオリアは気配を隠して木の影に隠れる。深い森の中ゆえ、何処までも闇が続いていた。 |
萌え話54 奇妙な存在 |
闇が不穏な気配を漂わせる。とにかく女官や少女たちを一まとめにして、聖闘士たちは臨戦態勢を取った。 アイアコスもさすがに真面目な顔で闇を見つめる。そして現れたのは半人半獣の化け物。バーベキュー会場の近くにある森から出てきた。か弱い女性陣は悲鳴を上げるが、聖闘士達は何となく奇妙な印象があった。 「こん棒を持ったミノタウロス? 斧じゃないのか?」 「なんだかトナカイみたいな角ですね」 「……本当にミノタウロスか? 何か変だぞ」 などなど。 アイアコスに至っては、「ゴードンがアレを見たら、ブチ切れるだろうなぁ」と呆れている。 「まぁ、とにかく被害が出る前に倒しておこう」 真面目なアルデバランの一言に、紫龍が前に出る。 「ミノタウロスの偽物などに、ここを荒らさせはしない」 そして勝負は紫龍のエクスカリバーの一撃で、簡単に決着がついた。後に残ったのは、灰色の綿雲のようなもの。それもしばらくして周囲に溶け込むように霧散する。 「夜が明けるまで、何体来ることやら」 冥界からの客人は、不吉なことを言いながら手にしていた酒を一口飲んだのだった。 |
萌え話55 お兄さんたちも頑張ります |
「惨状だな」 サガは眉をひそめた。真新しい廃墟に人の気配はない。ただ、鬼火のように青白い炎がいくつも現れていた。目的の秘密結社は、とある地域の山奥に本拠地があった。だが、今やそこは瓦礫と化している。 「何があったんだ?」 カノンも周囲を見て回るが、人の気配がない。それでも危険だけは濃厚に感じる。 「多分、制御できないものを呼び出したんだろう」 アイオロスが瓦礫の上を歩く。 「どういうことだ?」 サガの問いに射手座の黄金聖闘士は遠くを見ながら答えた。 「向こうに操られて、こっちの人間が道を作ったということだ」 実力のない人間が異形の者を呼び出せたときは、たいてい異形側が人間を利用したと思っていい。その説明にカノンは腕を組む。 何となくアイオロスを怪しんでいる風でもあった。 |