彼のものは暗闇に潜む 1
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暗闇の中に神がいた。 |
「大丈夫ですか!」 女の子が僕の顔をのぞき込む。誰だ? そこへ別の女性が部屋に入ってきた。 看護師? するとここは病院なのか? 次々と人がやってきた。 僕は自分がどうしてここにいるのかを思い出す。 そうか、戦いは終わったんだ。 「みんなは! 兄さんは無事?」 僕の問いに女の子が答えた。 「みなさん、ご無事です」 すると医者の男性が言う。 「他の人たちはもう退院している。君が一番最後だ」 僕は再び目を閉じた。みんなが無事なら、それでいい。とても眠たい。 次に目を覚ましたときの気分は最悪だった。身体を思うように動かすことができない。とにかく気持ち悪い。いったい僕の身体に何が起こっているんだ。 女の子は何をするわけでもなく、ただ僕に付き添っている。話を聞くと聖域から派遣されてきたそうだ。 知っている人物ような気がするけど、何度考えてもやはり思い出せない。 「聖闘士様のお世話をしに参りました」 女の子は誇らしげだったけど、僕は正直言って有り難迷惑だと思った。 それに僕の中で何かが警戒せよと言っている。 「……あとは一人で出来るから、聖域に戻っていいよ」 しかし彼女は首を横に振る。 「アンドロメダ様から離れてはならないと言われました」 真面目に言う彼女に僕は驚いた。 |
女の子の隙をついて僕は病院を抜け出し、城戸家へ駆け込んだ。 |
どこかで声が聞こえる。 誰かが許しを乞うているらしい。 しかし、相手の怒りは収まらない。 『何故、勝手ニ!』 はっきり聞こえてきた声に僕は目を覚ました。 |