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A
surprising present その1
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パンドラは月に三度は、冥界のハーデス城に行く。
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部下の闘士の連絡で、三巨頭たちはハープのある部屋に駆け込む。 「パンドラ様!」 そして彼らはその場に立ち尽くしてしまう。 「お前達。来たか。 少々困った事になったぞ。 手が届かん」 ハープの横で必死に手を伸ばしているパンドラは、どう見ても4〜5才くらいの女の子だった。 「お前達! パンドラ様に何かしたのか!」 ラダマンティスが近くに居た、全然関係ないであろう部下たちを問い詰める。 彼らは一斉に否定した。 「随分と小さくなりましたね」 ミーノスは片膝を付いてパンドラと視線の位置を合わせる。 彼女は着ている服がブカブカになっており、肩から洋服がずり落ちそうだった。 「気付いたら小さくなっていた。 これではハインシュタインには戻れん。 ハープを使ってのお仕置きも上手くやれぬから、何が起こるか判らん」 パンドラの見当違いの心配事に、それは止めて欲しいと冥闘士たちは全員願ってしまった。 |
気が付いたらと言うのが一番やっかいだと彼らは考える。
これでは手がかりが皆無に等しい。 「何か悪いものでも食べたのか?」 アイアコスの言葉に、彼女は首を傾げる。 「今朝は城の者が作ったものを食べた。 そういえば昨夜、アテナが送ってきた焼き菓子を食べた」 部屋の空気が一瞬凍りつく。 そして怒りのオーラを撒き散らしながら部屋から出ようとしているワイバーンの冥闘士を、 グリフォンの冥闘士の放った糸が捉えていた。 「ミーノス。離せ!」 「何の確証のないまま先走らないで下さい。 間違いだったら洒落になりません」 「アテナからの贈り物でパンドラ様がこのような目にあったのだぞ!」 しかし、ミーノスは冷静だった。 「冥界の裁判官が状況証拠で罪を確定するのは止めなさい。 別の者の仕業だったらどうするのですか!」 そしてアイアコスは冷静と言うより、のんびりしていた。 「そうだぞ。ラダマンティス。 お前が混乱してどうする。 もし、アテナか聖域の仕業なら、それ相応の報復をすればいい。 そのレベルを知る為に、俺が天秤座に会ってくる」 彼の提案に、ラダマンティスは驚く。 「天秤座に?」 聖闘士の要とも呼ばれる男。 確かに彼ならば今回の事について知っていようが知っていなかろうが、 何かを隠していようが、それはアテナと聖域の対応だと思えば良い。 「パンドラ様。ちゃんとした事が判るまで、この男の手綱を掴んでおいて下さい」 ガルーダの冥闘士は言いたい事だけ言うと、さっさと部屋から出ていった。 |
ところが、アイアコスの調査によると聖域は関係なかった。 何しろ三巨頭の一人が聖域に乗り込んで会いに来たのである。 これには聖域中が驚いた。 彼は運良く沙織と童虎に会い、人払いもして貰えた。 だからパンドラの現状を正直に告げた。 そして沙織はと言うと、驚きと共に好奇心に駆られて、童虎を連れてハインシュタインへやってきたのだった。 |