|
|
| |
ワイバーンの冥衣がどのような行動をしているのか。 ラダマンティスは人に頼むわけにもいかず、自分で調べてみた。 |
─パンドラの説明─ 「ワイバーンの長い尻尾にリボンをつけると、とても映えるのだ。 ただ、万事控えめに意思表示をするので、ラダマンティスとの仲が上手くいっているのか、時々心配になる。 そうそう、今度はグリフォンとガルーダもおそろいのリボンと刺繍で飾るつもりだ。 約束の昼寝用クッションも3つ、用意したぞ」 |
─ユリティースの告白─ |
─沙織の説明─ 「あの時は、ちょうど退屈なパーティに出るためホテルにいたから、ずっと話し相手になってもらいました。 ワイバーンの冥衣は夜の闇にまぎれて地上に来たと言っていましたが、なかなか行動派のようですね。 そうそう、隣りの会場で盗難事件があって、私の推理をワイバーンが立証してくれたので犯人を捕まえることが出来ました。 お手柄だったのに、こっそりと帰ってしまったのは残念です。 そういえば、偶然ワイバーンを見た某富豪のご子息が、もう一度会いたいと言っていましたよ」 |
─エスメラルダの告白─ 「あの……、私が聖域の外れにある花畑に行った時、ワイバーンさんは木陰で寛いでいました。 天気が良い日にグッタリしていたので、水で濡らしたタオルを渡したら喜んでくれました。 日射病だったのでしょうか。 夕暮れになってワイバーンさんは空へ飛び立ったのですが、しばらくして綺麗なお花を持ってきて私にくれました。 すごく嬉しくて、その花を押し花にして大事にしています。 綺麗な夕焼けの空を飛ぶワイバーンさんは素敵でした。 名前はユリティースさんから聞きました。 ワイバーンさんはお元気ですか?」 |
─絵梨衣の告白─ 「あの日は学園の子が一人、迷子になったんです。 夜になっても見つからず、近所の人にも手伝ってもらったのですが駄目でした。 でも、ワイバーンさんがその子を見つけて保護してくれていたのです。 冥衣というのは夜目が利くのでしょうか。 黒い翼竜さんには本当に感謝しています。 ですからワイバーンさんがきた時は、クッキーなどのお菓子でおもてなしをしています。 この間はお友達の分も用意したのですが、駄目でしたか?」 |
─テティスの説明─ 「ワイバーンの冥衣? あぁ……、最近、海によく来ます。 初めて会った時は、夕暮れの海辺で貝を集めていました。 私が何しに来たと言ったら、一番綺麗な色をした貝をくれました。 何だが怒る気がなくなったのですが、やはり冥衣ですから警戒しなくてはなりません。 ですから、ワイバーンが来た時は立ち去るまで一緒に居ます。 海闘士の仲間との争いは避けたいですからね」 |
調査結果にラダマンティスはため息をつく。 三巨頭の一人が動いたのだから、当然、他の闘士たちにバレるのは時間の問題だった。 カノンあたりは速攻で冥界に乗り込むかもしれない。 (ワイバーンは何を考えているんだ) ラダマンティスは自分のそばにいるワイバーンの冥衣を見た。 黒い翼竜はパンドラからもらったクッションを抱えて、幸せそうに寛いでいる。 その尻尾には綺麗な紅いリボンが結ばれていた。 それも複雑な編み目で、簡単にはほどけそうに無い。 (パンドラ様……) 聖闘士でも海将軍でも、相手が怒鳴り込む前に冥衣からリボンを外す必要がある。 その手間を考えると、彼は胃が痛くなってきたのだった。 |
|
|
|
| |