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地上にて女神たちの宴があるということで、女神ヘカテから女神ニュクスの子らに留守番要請があった。 いつもならこのような事は考えられないのだが、単純に遊びに行くという理解で不実や失望の女神アパテーと友愛の女神ピロテースが出かける。
この二柱の女神は仲がよく、一緒に行動することが多い。 ところがしばらくして、女神アパテーが目を輝かせながら戻ってきた。 「ヒュプノス兄様。とても綺麗な人間が居ました」 詳しい話を聞いてみると、どうも女神アテナの聖闘士らしい。 だが、その女性は眠り続けているので、何で女神ヘカテの神殿に居るのかわからない。 同じように神殿に居るニンフたちは、女聖闘士そのものに怯えて近づけず詳しいことを知らないといった有り様だった。 「今、ピロテースが綺麗な服に着替えさせています。穢れを取り去れば、きっと素敵になります」 話を聞いて眠りの神ヒュプノスは苦笑いをした。 基本的に女神ピロテースは気に入った存在には惜しみなく関わろうとする。 それが罪人だとしても手を差し伸べるのだ。 「アパテーから見て、その女聖闘士はどんな感じだ?」 兄の質問に女神は首を傾げながら答えた。 「誰も裁いてくれない罪に苦しんでいるみたいです」 |
妹神に引っ張られて、ヒュプノスは女神ヘカテの神殿を訪れる。 少し離れたところで、女神ヘカテの守護獣である黒い獣の一族が周囲を警戒していた。
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意識を集中し、瞬時に対象者の眠りの中に入る。 しかし、そこには何もなかった。 (夢を見ていない……?) それもあり得る話ではあるが、彼には何か不自然に感じた。 何かがあるのだが、それを見えないようにしている。 そんな雰囲気が感じられた。 とにかく本人を見つけなくてはならない。 (ここは人間の創った空間だ。向こうに分があるかもしれないが、隠れるのが上手いな) 神である自分に捜させるというのだ。 しばらく遊んでも良いが、退屈した妹神たちが面倒を引き起こすかもしれない。 ヒュプノスは少しだけ力を開放し、その背に美しい羽根を出現させた。 そのとき、少し離れたところで何かが動いた。 「そこか」 彼はすぐに移動すると、暗闇の中で触れたものを掴み一人の少女を引きずり出す。 ヒュプノスに腕をつかまれて出てきたのは、目的の少女だった。 金色の長い髪が美しく、自らの可憐さを隠そうとしているかのような厳しい眼差しもまた好ましい。 それと同時に周囲の風景が一変する。 現れたのは岩の点在する荒れた大地と、人間の死体だった。 周囲にはバラの花が散っている。 「離して!」 彼女は逃れようとするが、神であるヒュプノスに勝てるわけがない。 「ずいぶんな夢を見ているようだな」 「……」 少女はヒュプノスの顔をじっと睨み付ける。 「お前の名は?」 有翼の青年の言葉に彼女は口をつぐむ。 しかし、相手が人間などではないということに納得したのか抵抗を止めた。 「ジュネ……」 そう言ってジュネはその場にぺたりとしゃがみ込んだのだった。 |
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