(これでお風呂に入ったら、さすがに鋼牙に怒られるよね〜)
こっそり食器を洗った後、市販薬を飲んで身だしなみを整える。鋼牙の前では多少なりとも綺麗な姿でいたいが、今回は風呂まで入ったら風邪が長引くのは決定になってしまう。カオルは仕方がないと風呂は諦めて、部屋に戻る。
すると部屋では何だか異様な緊張があった。鋼牙が今か今かとカオルが現れるのを待っていたのだ。
「カオルに聞きたいことがある」
その声にカオルはドキッとする。
よもや朝焼けの中に立つ鋼牙の絵を見つけられてしまったのだろうか?
あの絵は鋼牙にバレると思いっきり嫌がられそうなので、別の場所に隠してあるのだ。
「どうしたの?」
バレていませんようにと願いながら彼女は返事をする。
「この絵はどうしたんだ?」
鋼牙が尋ねたのは、一組の男女が描かれている絵だった。
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