鋼牙たちがギャノンとかいうホラーを倒したらしい後、魔戒法師の皆さんが難しい顔をして相談事をしていた。
今や珀岩の谷は先ほどまでの不吉な黒い気配は消えて、とても静かになっている。
何かあったのかな? 私とゴンザさんをチラチラみている魔戒法師さんもいる。
もしかして私たちをどう帰そうか相談してくれているのかな?
体力は結構あるほうだけど、あらゆる手段が使えた行きと違って、今の魔戒法師さんたちは魔導筆を失っている。やっぱり術のレベルに差がでるのかな? 歩きっぱなしになるのを覚悟した方が良いかも。
そんなことを考えていたら、急に周辺が明るくなった。
そして光が消えたとき、鋼牙たちがそこにいた。
「鋼牙!」
私は嬉しくなって彼に抱きつく。
「カオル……」
その優しい声に、私は恥も外聞もなく泣いた。
嬉しい、嬉しい、嬉しい。
ところが事態は楽観できる状態ではないことを知らされた。
「この辺にはまだ手負いのホラーが残っているかもしれない。ギャノン消滅に巻き込まれなかったレベルがいた場合、かなり危険な存在だ。カオルたちは閑岱に連れていった方がいいのではないかという意見がでている」
鋼牙は難しい顔をしている。
「カオル、零や邪美たちと話したいことがある。ちょっと待っていてくれ」
そういうと私をゴンザさんに預けて、零くんたちの方へ行ってしまった。
どうしたんだろう?
そこへ烈花さんがやってきてくれた。女性の魔戒法師さんも一緒だ。彼女は回復のエキスパートとかで、私たちが怪我をしていないか気にかけてくれたのだ。すごく嬉しい。
しかも、その魔戒法師さんの服装は古い時代のしきたりを継いでいるとのことで、珍しい文様の服を着ていた。
鋼牙たちの話が込み入っているらしく、私はその魔戒法師さんから文様の意味を聞いてスケッチをさせてもらっていた。
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