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懐かしい温もりを感じながら微睡む。 目を覚ませば、それらは全て消えてしまうだろう。 「白き乙女」 彼女の手が、余の髪に触れる。 あぁ、やはりそうだ。 「分かりましたか」 乙女の声に、目を開けたい衝動に駆られた。 だが、開けるわけにはいかない。 これは夢なのだ。 「白き乙女。美しきレウケー。 余はもう、そなたを思い出にせねばならない」 懐かしき乙女は、すでに白いポプラの木になっている。 彼女の手を取る事は出来ない。 「そなたを無理やり冥府へと連れていった事、今も恨んでいるのか」 勝手な話だが、余は冥妃の為にも在り続けなければならない。 「愛しき者よ」 返事によっては、レウケーを消滅させねばならないだろう。 だが、彼女は尚も余の頭を優しく撫でている。 「わかっております。 私は死すべき定めの者。 たとえ再生の言霊を得ても、うまく使えるかは分かりません。 ただ、私は貴方様に逢えて嬉しかったと言う事を、直接伝えたかっただけです」 「……そうか」 レウケーの言葉は優しい。 良き夢の続きが見れそうだ。 暗闇の世界へと戻ろう。 |
「ジュネさん!」 |
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